【心理療法】
前頭前皮質を鍛えて脳を変える
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心理療法は「話を聞いてもらうだけ」ではありません。脳の司令塔である前頭前皮質を働かせることで、不安を生み出す脳の反応そのものを変えていけることがわかってきています。
心理療法で脳は変わる
これまでの多くの研究で、心理療法によって脳の活動が変化することが示されてきました。不安を心理療法で治療するということは、言い換えれば、自分の脳を使って、自分の脳を変えていくことなのです。
脳の「司令塔」と「警報装置」
不安に関わる脳の働きは、大きく2つに分けて考えるとわかりやすくなります。
| 前頭前皮質(司令塔) | 大脳辺縁系(警報装置) | |
|---|---|---|
| 場所 | おでこの裏側あたり | 脳の奥のほう(扁桃体など) |
| 主な働き | 考える、判断する、行動にブレーキをかける | 危険を察知して、すぐに身体を反応させる |
| パニックのとき | うまく働かず、警報を止められない | 危険がないのに警報を鳴らしてしまう |
パニック発作は、警報装置が誤作動を起こし、司令塔がそれを止められない状態と考えることができます。
前頭前皮質の「実行機能」を高める
前頭前皮質には、実行機能と呼ばれる働きがあります。
- 意思決定(どうするかを決める)
- 的確な判断(状況を正しく見積もる)
- 行動の抑制(衝動的な反応にブレーキをかける)
- 体験の意味づけ(起きたことをどう理解するかを決める)
認知行動療法(CBT)などで、パニックが起こる状況について話し合い、考え方を見直していくと、前頭前皮質が**「この場面でパニック反応は必要ない」と判断できる**ようになっていきます。
警報装置を落ち着かせる流れ
- 前頭前皮質が「これは本当の危険ではない」と判断する
- 意識的に、呼吸法などの落ち着くための方法を選べるようになる
- 不合理な恐怖が打ち消されていく
- くり返すうちに、興奮しやすくなっていた大脳辺縁系が落ち着いていく(脱感作)
前頭前皮質を働かせるアプローチ
- 認知行動療法(CBT)
- マインドフルネス
- 眼球運動による脱感作と再処理法(EMDR):主にトラウマが関わる不安に用いられます
大切なのは「粘り強く、一貫して」
脳の変化は一度で起こるものではありません。筋トレと同じように、粘り強く、一貫して取り組み続けることで、脳の活動は少しずつ変わっていきます。すぐに効果を感じられなくても、続けることそのものに意味があります。
まとめ
- 心理療法は、脳の活動そのものを変えていく治療です
- 司令塔である前頭前皮質の働きを高めることで、警報装置の誤作動を抑えられるようになります
- 変化には時間がかかりますが、続けることで脳は確実に変わっていきます
参考資料
- ・ M・ヴェーレンバーグ、S・M・プリンツ 著/貝谷久宣、福井至、不安・抑うつ臨床研究会 監訳『不安な脳 ― 不安障害を効果的に治療するための神経生物学的基礎』
ご注意:このページは一般的な情報の提供を目的としたもので、診断や治療の代わりにはなりません。症状が気になるときや、お薬・治療について判断が必要なときは、必ず医師にご相談ください。
【心理療法】のページ
- ・認知行動療法(CBT)で何をするのか?
- ・前頭前皮質を鍛えて脳を変える
- ・治りやすさと治療への向き合い方